Vponビッグデータインバウンドセミナー名古屋レポート

2019年4月25日、Vpon JAPANは名古屋にて「Vponビッグデータインバウンドセミナー」を開催しました。ゲスト登壇者として、株式会社JTBコミュニケーションデザインの山本裕信様よりデジタルマーケティングの基礎からJTBで行なっている施策についてお話しいただき、他地域の大阪観光局の牧田拡樹様からは大阪におけるインバウンド状況からOsaka Night Outの結果と展望についてお話しいただきました。先進的にデジタルマーケティングを実施している大阪観光局の知見には名古屋の関係者の方々も興味深く聞いている様子が伺えました。

左からVpon JAPANの篠原、大阪観光局の牧田氏、JTBコミュニケーションデザインの山本氏、YAMAGATAの荒牧氏

「トラベルビッグデータから紐解く中部地方の旅ナカインサイト」

まず最初はVpon JAPAN株式会社代表取締役社長篠原好孝より、トラベルビッグデータから紐解く中部の旅ナカからご説明させていただきました。

Vpon JAPAN株式会社代表取締役社長 篠原好孝

インバウンド業界においてはようやくデジタルシフトが始まった昨今、データを活用するには、「1データを集める」「2データを統合する」「3データを活用する」という3つのステップを踏む必要がありますが、データを整理、統合できていなかったり、効果検証ができていないということが課題に挙げられます。そのような中で我々のようなソリューション提供事業者がデータを集め、整理し、それらのデータから属性、興味、行動、位置を機械学習によって予測して活用していきます。
Vpon JAPANではこれらのデータの活用によって旅行の軌跡を辿ることができます。

図1 訪日旅行客の旅行の軌跡

例えば中部地方の人気観光地を巡る4つのモデルコース(昇龍道)を旅行をしている訪日旅行客をデータの中から追跡することも可能です。

図2 台湾人訪日客の旅行の軌跡

上図はある台湾人訪日客の旅行の軌跡を辿ったものです。
この台湾人訪日客は名古屋市に訪れ北上して下呂市、飛騨市、金沢市、白川郷を巡って名古屋に戻り、そして空港がある常滑市に向かっています。
まさにドラゴンコース(能登半島を龍の頭になぞらえて、名古屋から石川県へと南北に縦断する昇龍道の特徴的なコース)のような周遊をたどっているということがわかります。

図3 香港人訪日客の旅行の軌跡

また、ある香港人訪日客はグレートネイチャーコース(3000m級の山々を縦断するアルペンコース)の通りに周遊しており、名古屋から長浜市、金沢市、白川村、富山市、飛騨市などを巡って再び名古屋市に戻っています。
このようなデータから新しいプロモーション方法やモデルコースを構築していくことができます。

データによって名古屋市を訪れた中国、香港、台湾からの訪日客の「年齢層」、「週、日単位のユーザー動向」、「興味関心」、「ライフスタイル」、「アプリ利用動向」、「OS比率」、「どこの地域から来ているか」ということを知ることもできます。

図4 名古屋市内に滞在する東アジア訪日客の国別の特徴

名古屋滞在中、中国や香港の訪日客は旅行・地域情報やファイナンス・決済に関するアプリを入れて名古屋に訪れる傾向があります。台湾の訪日客は他の2カ国にないショッピングに関するアプリが必ず上位に入る傾向にあります。このことから台湾の訪日客は現地に来てからなにを買うのかを決める傾向にあると考えられます。

図5 東アジア訪日客の名古屋滞在中のモバイル利用時間

モバイルをアクティブ状態にしている時間帯を国別に見てみると、中国、香港は早朝にモバイルの使用率が最も高い傾向のあります。このことから名古屋を訪れた中国、香港からの訪日客へは早朝にプロモーションをすることで効率的に情報を発信することができると考えられます。

データを活用することによって名古屋に来る訪日客の特性を知ることでき、その特性からターゲットを絞って効率的に情報を発信できるコンテンツ作りを行うことができます。

 

「デジタルマーケティングの活用でプロダクトアウトからの脱却」

続いて株式会社JTBコミュニケーションデザイン プロモーション事業部 名古屋営業局 営業推進課 リーダー 山本裕信様に「デジタルマーケティングの活用でプロダクトアウトからの脱却。マーケットインの視点で顧客の心をつかむ!」というテーマでお話しいただきました。

株式会社JTBコミュニケーションデザイン プロモーション事業部 名古屋営業局 営業推進課 リーダー 山本裕信 氏

旅行をするとき、旅行客は「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」という3つのフェーズに分かれますが、認知度を向上させるために「旅マエ」の仕掛けが重要になるそうです。その理由として商品やサービスがどんなにすぐれていてもお客様に認知されていなければ売れず、お客様も知らなければ買うことができないからです。実際にアジア圏、欧米豪圏における中部地方の認知度調査の結果をご紹介いただきました。

アジア圏では、中部地方ではアジア圏からの訪日客が圧倒的に多いため認知度もある程度高い一方で、欧米豪圏では日本自体の認知度は低くはありませんが、東京、京都、大阪の認知度が高く、中部・北陸地域の認知度は低い状況にあります。しかし、高山や白川郷、金沢などの主要な観光拠点は認知度が一定数あるということがわかりました。
以上の結果から中部地方は東京〜大阪の間に位置していることから誘客しやすく、まずは「ちょっと(少泊でも)立ち寄っていただく」ということを意識し、認知度アップを図る情報発信が必要になります。
その情報発信の方法として、
1.外国人による外国人目線でのコンテンツ作成
2.PR動画による訴求
3.サイト分析~再構築
4.web広告配信
ということを考える必要があります。

 

「大阪観光局のデジタルマーケティング施策と今後の展望 」

最後に大阪観光局の牧田様より「大阪観光局のデジタルマーケティング施策と今後の展望 ~ニーズ調査からコンテンツ造成で魅力ある大阪の情報発信~」というテーマでお話しいただきました。

公益財団法人 大阪観光局 マーケティング室 室長 牧田拡樹 氏

2018年は1142万人の訪日旅行客が大阪を訪れ、そのうちのほとんどが東アジアからの訪日旅行客ですが、大阪の特徴として訪日旅行客による夜の活動時間が短いということがわかりました。このことから大阪を選ぶ訪日旅行客は夜遊ぶことを考えていない傾向にあるようです。
しかし、来阪した日本人旅行客は訪日旅行客よりも夜の活動時間が2時間も長いということから夜遊ぶところがないというわけではなく、ナイト観光のプロモーションができていないということがわかりました。
そこで、大阪観光局は昨年に大阪のキタ、ミナミの19店舗が参加してOsaka Night Outという実証実験を行い、広告配信を行いました。
結果的には集客には直結してなかったということですが、その改善策として予約システムの構築と、デジタル・アナログを含めて今大阪に来ている外国人に対して十分に「イベント・コンテンツ」情報を伝える必要があるということが挙げられました。このように改善策が明確に浮かび上がったことでナイト観光には伸びしろがあるということが判明したことから、今後は本格運用を予定しています。

さらに今後の展開として、来阪訪日客のうち90%が大阪市を訪れている一方で、関西国際空港からの導線はあるものの大阪市以外の市町村には訪日客が訪れていないということから、大阪観光局が構築したDMPによって市町村別の今を可視化することで観光施策を効果検証し、効果的なプロモーションの展開をおこなっていくということです。

 

「さいごに」

名古屋で初開催となりましたVponインバウンドセミナー名古屋ですが、地域観光に関わる方や企業様など予想以上に多くの方にお集まり頂き大変貴重な機会となりました。特に名古屋は他の地域とは違う特徴が多くあり、名古屋を含めた中部地方にしかできないインバウンドの施策が多くあるように感じました。この機会が名古屋や中部地方にとって良いきっかけとなり、そしてぜひVponのビッグデータを役立ていただけますと幸いです。
改めて、ご登壇いただいた山本様、牧田様に御礼申し上げます。

会場の様子
司会の様子(司会:Vpon JAPAN 澤村)
集合写真

■登壇ゲスト
株式会社JTBコミュニケーションデザイン プロモーション事業部 名古屋営業局 営業推進課 リーダー 山本裕信 氏
公益財団法人 大阪観光局 マーケティング室 室長 牧田 拡樹 様

※当記事は2019年4月の情報をもとに構成しています。掲載内容、所属団体、部署名、役職名等は、セミナー開催時のものになります。

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