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訪日外国人、特にアジア圏の観光客による消費が増加する中、インバウンド集客は小売・観光業にとって欠かせない施策となっています。本記事では、予算を抑えて始められる無料プロモーションの活用法について、具体的なツールや事例を交えながらわかりやすくご紹介します。
訪日外国人の国別消費額2024年ランキング(確報)

参照:国土交通省 観光庁「2024年暦年の調査結果(確報)の概要」
図1は、2025年3月31日に公開された2024年の訪日外国人旅行消費額です。
1位 中国、2位 台湾、3位 韓国、4位 香港で上位はアジア市場で占められています。このことから、アジア市場に特化したインバウンド広告戦略が効果的であると言えます。
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参照:国土交通省 観光庁「2024年暦年の調査結果(確報)の概要」
図2の上位アジア圏の費目別を見ると、宿泊費と買物代が旅行消費額の大半を占めており、次いで飲食費が重要な要素となっています。このデータを活用し、例えば飲食店では特典を、宿泊施設では体験型アクティビティを訴求する戦略が考えられます。また、買物代が高い割合を占めていることから、小売業では日本ならではの商品や限定アイテムを打ち出すことで、訪日観光客の購買意欲を高めることが期待されます。
宿泊費や買物代の支出が大きいことから、インバウンド広告では「宿泊体験」や「ショッピングの魅力」を訴求することが成功の鍵となります。特に近年、外国人観光客の間では都市部だけでなく、日本人にもあまり知られていない地方・田舎での“体験型宿泊”が注目を集めています。
ローカルな体験への関心は、旅の質や文化への理解を重視する訪日観光客に特に響いており、地方創生と結びついたインバウンド戦略として高く評価されています。
今すぐ使える!無料インバウンド集客ツールと活用法4選
手法 | 詳細 |
---|---|
TripAdvisor(トリップアドバイザー) | 世界中の旅行者が利用するレビューサイトに登録することで、信頼性を向上させることが可能です。 |
Googleビジネス | 無料で観光地やサービスを登録し、写真や情報をアップデート。 |
SNS(Facebook、Instagram、YouTube) | ・#JapanTravel や#VisitJapan、#日本旅行、#観光地名、地域特有のハッシュタグを使用し、魅力的な写真や動画を投稿。 ・ストーリーズやリール、ショートの縦動画を活用 |
ターゲット市場別のコンテンツ | 多言語対応のサイトや投稿、キャンペーンを展開。 |
TripAdvisor(トリップアドバイザー):
世界最大級の旅行プラットフォームとして、TripAdvisorは世界中の旅行者に利用されています。
日本国内の観光地や飲食店の情報も多言語で掲載されているため、外国人観光客にとって使いやすく、訪日前の情報収集に頻繁に活用されています。
無料で店舗や施設のページを管理できる点も大きなメリットで、営業時間や写真、サービス内容などを自社で正確に発信できることが信頼獲得に直結します。口コミへの返信も可能なため、顧客との関係構築やブランドイメージの向上にもつながります。

Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス):
観光地や施設情報をGoogle検索・Googleマップに無料掲載可能。「エリア名+観光」「施設名+口コミ」などローカル検索対策において最も基本かつ効果的な手段です。
多言語での店舗情報入力や、写真・口コミの定期更新によって、検索エンジンでの上位表示が狙えるだけでなく、スマートフォンで検索する訪日観光客の来店率向上にもつながります。

SNSと口コミを最大限に活用:
SNSやレビューサイトは無料で利用でき、旅行者同士の口コミが新たな訪問者の興味を引き寄せる大きな力となります。
多言語対応の重要性:
多言語対応は、特に台湾人観光客に向けたインバウンドプロモーションで非常に重要です。繁体字の使用が必須であり、ウェブサイトや申し込みフォームの最適化が求められます。
→ 繁体字・簡体字については以下の記事をご覧ください。
簡体字と繁体字の違いとは 〜LP、運営サイトを総チェック〜
無料で始める!香港・台湾観光客向けインバウンド集客方法
Vponデータや台湾人から得た人気のアプリ情報をお伝えします。
台湾向け無料プロモーション
Facebook・LINEは台湾でも人気。公式アカウントを活用して、タイムリーに情報を届けると効果的です。 その他、若年層を中心にSNSやレビューサイトを通じた情報収集が一般的です。無料で始められる集客手段として、以下のようなツールやプラットフォームを活用することで、費用をかけずに現地ユーザーへアプローチすることが可能です。
台湾市場のアプリシェア率

参照:Vponデータ
OpenRice(44.04%)
RED(小紅書)(31.27%)
Klook(21.15%)
KKday(13.4%)
台湾ではグルメレビュー系の「OpenRice」が圧倒的な支持を得ており、レストラン選定において最も影響力のある媒体と言えます。次いで、若年層の口コミ主導メディア「RED」や、旅行予約系の「Klook」「KKday」も安定したシェアを維持しています。
香港市場のアプリシェア率

参照:Vponデータ
RED(小紅書)(12.56%)
OpenRice(9.46%)
Klook(7.31%)
KKday(5.86%)
香港では「RED(小紅書)」の存在感が特に高まっており、日本のグルメ・観光情報を得るメディアとしてZ世代を中心に人気を博しています。OpenRiceやKlookなども継続的に使われており、飲食・観光それぞれにおいてアプローチ先として有効です。
1. 小紅書(RED)とは

日本でも注目を集めている中国発のライフスタイル共有アプリで、中国本土・台湾で影響力を持つSNSであり、ユーザーが写真や動画を通じてファッション、美容、旅行、グルメなどの情報をシェアします。いわば、中国版Instagramです。ショッピング機能も統合されており、直接商品を購入することが可能です。ユーザーの中心層は20〜30代で、特にZ世代(1990年代後半〜2010年代初頭生まれ)が全体の約半数を占めています。また、ユーザー全体の約70%が検索機能を日常的に活用しているとされています(出典:やまとごころ.jp)。
ユーザー数:2025年4月時点で、全世界の月間アクティブユーザー数は約3.1億人(出典:中国マーケティングラボ)。
2. OpenRiceとは

香港発のレストランレビューサイトおよびアプリで、ユーザーがレストランのレビュー、評価、写真を投稿し、他のユーザーと共有できます。香港、マカオ、台湾、タイ、シンガポール、マレーシアなど、アジア各地のレストラン情報を網羅しています。また、オンライン予約やデリバリーサービスの注文も可能です。また、食べログと連携しているのも大きなポイントです。
ユーザー数:2025年4月時点で、香港の月間アクティブユーザー数は約614万人(出典:OpenRice factsheet )。
3. KLOOKとは

世界中の旅行・レジャーアクティビティの予約プラットフォームで、ツアー、アトラクションのチケット、交通手段、宿泊施設など、多岐にわたるサービスを提供しています。ユーザーはアプリを通じて簡単に予約や購入が可能で、特に若い旅行者に人気があります。また、小紅書(RED)との提携により、中国人観光客向けのサービス強化も図っています。
ユーザー数:2025年2月時点で、世界中での月間アクティブユーザー数は5,000万人(出典:36Kr Japan)。
4. KKdayとは

台湾発のオンライン旅行体験予約プラットフォームで、現地ツアー、アクティビティ、交通チケットなど、多様な旅行商品を提供しています。ユーザーはアプリを通じて世界各地の体験を簡単に予約でき、特にアジア地域でのサービスが充実しています。OpenRiceと同じく、食べログと連携しているのも大きなポイントです。
ユーザー数:2025年1月時点で、世界中での月間ユーザー数は約75万人(出典:KKday)。
▼ 食べログがOpenRice(香港)とKKday(台湾)と連携
- 広範なアクセスと認知度の向上
OpenRiceは香港や台湾をはじめとするアジア諸国で広く利用されるレストラン検索・レビューサイトであり、KKdayは多くの旅行者が利用する体験予約プラットフォームです。これらと連携することで、食べログの情報が訪日観光客に直接届きやすくなります。 日本国内だけでなく、訪日前の旅行計画段階からターゲットにアプローチ可能。
- ターゲットマーケティングの強化
OpenRiceやKKdayのユーザーデータを活用することで、訪日観光客の好みやニーズに合ったプロモーションが可能になります。例えば、特定の国や地域からの旅行者向けにカスタマイズされたレストラン情報やクーポンの配布ができます。
- レビューや口コミの相互影響
OpenRiceとの連携により、訪日観光客が利用後にレビューを投稿することで、さらなる口コミ効果が見込まれます。ポジティブなレビューが増えることで、次の訪日観光客への影響が大きくなります。
- 多言語対応の強化
食べログ単体では対応が難しい多言語展開を、OpenRiceやKKdayの既存の多言語サポートを活用して補完できます。これにより、観光客にとって使いやすい情報提供が可能になります。
- ブランドイメージの向上
日本の食文化を象徴する「食べログ」が海外の主要プラットフォームと連携することで、グローバルな認知度が高まり、日本の食の魅力を伝えるリーダーとしての地位を強化できます。
インバウンドプロモーションは無料と有料どっちが効果的?
無料 | 有料 | |
---|---|---|
価格帯 | コストゼロ | 数千円~数百万円 |
特徴 | 初期投資なしで始められるが、時間と工夫が必要 | 費用はかかるが、即効性やプロ仕様のサービスが受けられる |
対象ツール例 | Googleマイビジネス、SNS、口コミサイト、無料翻訳ツール | Google Ads、SNS広告、有料の多言語翻訳サービス、インフルエンサー起用 |
効果の即効性 | 長期的(効果が現れるまで時間がかかる) | 短期的(即効性がある) |
必要なスキル | 基本的なツール操作スキル | 専門的な運用知識や経験豊富なプロの支援が必要 |
ターゲット精度 | 幅広い層へのアプローチが可能だが、ターゲティング精度は限定的 | 細かいターゲティングが可能で、ピンポイントで集客できる |
データ分析 | ツールによる簡易的な分析 | 高度な分析機能や詳細なレポートが利用可能 |
拡散力 | SNSや口コミの自然拡散に頼る | 広告やキャンペーンを通じて確実に拡散可能 |
活用例 | 自社情報を無料ツールで登録し、口コミを積極的に促進 | 広告予算を投じて特定の地域や層をターゲットに効果的なプロモーション |
まとめ
無料プロモーションを最大限に活用し、効果的なインバウンド施策を実現する!
台湾・香港からの訪日観光客に向けたインバウンド集客は、無料プロモーションからでも十分に成果が期待できます。SNSや口コミ、現地プラットフォームを活用しながら、効果を検証し、必要に応じて有料施策に切り替えていくことで、効率的かつ戦略的なプロモーションが可能です。
「無料ではなかなか効果が見えづらい…」という方に向けて、Vponでは有料プロモーション施策による成功事例も多数ご紹介しています。より確実な成果を目指す際のヒントとして、ぜひご活用ください。