訪日外国人が選ぶ日本の空港ランキング!アジア訪日観光動向

Table of Contents
概要
  • 総合1位: 成田空港

国際線の便数や就航都市数が多く、首都圏へのアクセスが便利な点が人気。

  • アジア圏別1位: 関西空港(香港・韓国)

西日本の玄関口として、高い定期便数とLCCの充実がポイント。

  • 中国: 観光のしやすさと直行便数

成田や関西に加え、中部空港や地方空港(茨城、広島、佐賀)がランクイン。

  • 台湾: 地理的近さと就航便数

地方空港(仙台、小松、岡山)が新たな注目スポットに。

  • 香港: 地方観光の多様化

那覇や高松、熊本など地方空港の人気が拡大。

  • 韓国: 地理的近さと地方港の利用増加

比田勝港や博多港が短距離観光の拠点として台頭。

訪日外国人が日本への入国時に利用する空港や港のランキングを発表!特にアジア圏の観光動向に焦点を当て、地方空港の利用増加や直行便、LCCの役割を詳しく解説します。

今回はアジアを中心に法務省 出入国在留管理庁の統計データをもとに、アジア圏からの訪日外国人が選ぶ空港ランキングやその背景を詳しく解説します。

訪日外国人が選ぶ空港ランキング
2024年の訪日外国人の入国数の総数
図1.訪日外国人の空港別入国者数ランキング 2024年
参照:法務省 出入国在留管理庁 「出入国管理統計」

図1は2024年の訪日外国人の入国数の総数を空港と港湾別に見たものです。

入国者数1位 成田空港
成田空港は国際線における旅客数、発着便数、就航都市数、総就航都市数、乗り入れ航空会社数、貿易額で日本最大規模を誇ります。国際拠点空港の1つとして様々な国の訪日外国人が成田空港から入国し、日本中を旅しています。

入国者数2位 関西空港
関西空港は成田空港と並んで国際拠点空港と位置付けられています。また、海上に空港があることから騒音の心配がなく、日本で初めて旅客・航空貨物の両方で24時間運用を開始しました。
西日本最大のハブ空港として、西日本を訪れる旅行者を繋いでいます。

入国者数3位 羽田空港
羽田空港は国際線と国内線を合わせた発着数、旅客数はともに国内最大の空港です。また、国際線、貨物においてのみ24時間運用を行っています。
東京に最も近い国際空港として多くの訪日外国人に利用されています。

これらの空港に次いで、アジアと日本の玄関口としての役割を果たす福岡空港と那覇空港や国際線の新規路線が増加している新千歳空港や中部空港が続きます。空港別で見てみると、やはり成田空港が一番多いことがわかります。成田空港は上述の通り、国際線の就航都市数などが一番多く、また東京から近いこともあり、1位ということも頷けます。そして2位を見てみると、なんと2位は羽田空港ではなく関西空港となりました。関西空港は西日本における空の玄関口ということや、関西への旅行人気の高まりもあり、2位となりました。

アジア訪日外国人に人気の空港ランキング
アジア圏と日本を繋ぐ直行便の重要性

訪日外国人の利用が多い空港には、直行便の利便性が大きな影響を与えています。アジア訪日外国人にとって、空港選びの決め手は直行便の充実度です。直行便の利便性が訪日観光の魅力をさらに高めています。
今回は、中国、台湾、香港、韓国を例に見てみます。

表1. 港別訪日外国人数(中国、台湾、香港、韓国)
参照:法務省 出入国在留管理庁 「出入国管理統計(2024年)」

※()内は前年比

表1は、国別の訪日入国数を港別に多い順で示したものです。
この表からなぜアジア圏訪日客はその空港や港を利用するのか、考えられる要因を明らかにしていきます。

関西空港がアジア圏で上位の不思議

図1を比較すると、香港、韓国の1位は関西空港、そして中国、台湾の1位は成田空港であることがわかります。この現象はアジア圏のみに見られ、他の国ではほとんど見られません。

その理由として運航便の多さが挙げられるのではないでしょうか。実は全空港の中で中国、台湾、香港、韓国行きの定期便数は関西空港が1番多いのです。2023年の夏ダイヤによると関西空港のアジア方面の定期便数は594本、冬ダイヤは930本の年間1524本にのぼります。そのうち夏冬ダイヤともに762本が中国、台湾、香港、韓国行きの定期便です。それが関西空港が1位である理由の1つと考えられます。また、その中でも関西空港は、日本国内最大のLCCハブ空港として、訪日外国人観光客の地方観光需要を支えています。特に香港や韓国からの直行便が充実しており、地方空港への乗り継ぎも容易なため、西日本全体への観光需要を活性化しています。2012年には16,804,000人だった旅客数は2023年には25,891,000人と約1.5倍増加しました。

訪日韓国人の都道府県別訪問率ランキング
表2. 訪日韓国人の都道府県別訪問率ランキング
参照:日本政府観光局(JNTO)「都道府県別訪問率ランキング」から抽出

特に韓国を見てみると、表2のように大阪、京都へ訪問した韓国人は徐々に増加していることがわかります。特に、多くの韓国系LCCが増便した2015年以降は大阪が訪問率1位となり、また京都も訪問率が上がっています。
これらの理由から、関西空港が1位となったと考えられます。

中国

訪日中国人の港別入国数ランキングの特徴として、成田空港、関西空港、羽田空港はもちろんですが、中部空港は他の国より上位にランクインしています。また、中国のみ茨城空港、広島空港、佐賀空港がランクインしています。
中国の都市への就航数と観光のしやすさがポイントとなります。

  1. 茨城空港 コストパフォーマンスと自然観光の魅力
  • 低コスト航空便の充実

茨城空港はLCC(格安航空会社)の拠点で、中国主要都市からの低価格便が充実しています。特に、北京や上海など主要都市からの直行便が利用可能で、訪日旅行のコストを抑えたい旅行者に支持されています。

  • 東京圏へのアクセスの良さ

茨城空港は東京圏への玄関口としても注目されています。空港から東京都心部までの移動時間は約1時間30分程度で、観光・ビジネス双方において便利なロケーションです。

  • 茨城県の自然や文化資源

茨城県には、筑波山や袋田の滝、偕楽園など、中国人観光客に人気の自然観光スポットが数多く存在します。また、観光PRキャンペーンを通じて、茨城県の魅力が積極的に発信されています。

  1. 広島空港 世界遺産と文化的な観光資源
  • 平和記念公園と厳島神社

広島空港は、広島市内や宮島(厳島神社)へのアクセス拠点です。平和記念公園や世界遺産である厳島神社は、中国人旅行者にとって人気の観光地となっており、観光需要を支えています。

  • 中国地方全体への利便性

広島空港は、中国地方全体の観光地へのアクセスに便利で、岡山の倉敷や山陰地方の名所への旅行者も増加しています。広域観光の基点として注目されています。

  • 航空路線の多様化

広島空港では、上海や大連、広州といった中国の主要都市との直行便が運航されています。さらに、中国人旅行者のニーズを反映した運航スケジュールが観光促進に大きく寄与しています。

  1. 佐賀空港 地方観光と利便性の融合
  • 九州地方の観光資源の活用

佐賀空港は、九州地方の観光拠点として活用されています。佐賀県内には、有田焼や伊万里焼の陶芸の里、吉野ヶ里遺跡など、中国人旅行者が興味を持つ観光資源が豊富です。

  • 福岡・長崎とのアクセスの良さ

佐賀空港から福岡や長崎といった九州の主要都市へのアクセスも良好で、旅行者にとって利便性の高い選択肢となっています。

  • 航空便の新規就航とプロモーション活動

佐賀空港は、上海や青島からの直行便が新規就航しており、中国からの訪日観光客の利用が急増しています。また、観光プロモーションが中国国内で成功し、地方観光地への関心が高まったことも背景にあります。

台湾

訪日台湾人の港別入国数ランキングの特徴は、仙台空港、小松空港、岡山空港がランクインしていることです。

図2.港別訪日台湾人の入国数トレンド(仙台空港、小松空港、岡山空港)2009~2024年
参照:法務省 出入国在留管理庁 「出入国管理統計」
  1. 仙台空港 役割と台湾人観光客へのアピールポイント
  • 東北地方の玄関口として重要な役割

仙台空港は、東北地方全体へのアクセス拠点として機能しています。松島や蔵王温泉、世界遺産の平泉など、台湾人観光客に人気の観光地が多数存在します。

  • 直行便の新規開設

仙台空港と台湾を結ぶ直行便が新規開設され、アクセスの利便性が向上。これにより、台湾人観光客にとっての利便性が大きく向上しました。

  • エバー航空(EVA Air): 2023年1月18日より、仙台-台北(桃園)線の運航を再開
  • タイガーエア台湾(Tigerair Taiwan): 2023年3月26日から、台北-仙台線の運航を再開
  • スターラックス航空(STARLUX Airlines): 2023年4月1日より、仙台-台北(桃園)線を新規開設し、毎日1往復の運航を開始
  • 成功した観光PRキャンペーン

東北地方の魅力を伝える積極的な観光プロモーションが台湾市場で成功し、仙台空港の認知度を押し上げています。

  1. 小松空港 戦略と北陸観光の人気
  • 北陸地方の観光拠点としての地位

石川県金沢を中心としたエリアへの玄関口として、小松空港は機能しています。兼六園や21世紀美術館、加賀温泉郷など、文化的で台湾人観光客に人気の観光地が多い点が魅力です。

  • 台湾市場をターゲットにしたプロモーション

北陸地方の文化資源を活用した観光プロモーションが台湾人旅行者の関心を引き、観光地としての価値を高めました。

  • 北陸新幹線の延伸効果

北陸新幹線の延伸により、関東や関西から北陸地方へのアクセスが強化され、訪日観光全体での利便性が向上しました。

  1. 岡山空港 瀬戸内観光の魅力
  • 瀬戸内エリアの玄関口としての役割

岡山空港は、瀬戸内海エリア全体の観光拠点となっています。倉敷の美観地区、後楽園、直島の現代アートなど、台湾人旅行者にとって魅力的な観光資源が豊富です。

  • 瀬戸内海の島々へのアクセスの容易さ

岡山空港を利用することで、瀬戸内海の美しい島々へのアクセスが容易で、リゾート観光地としての人気が高まっています。

  • 直行便の増加による利便性向上

台湾と岡山を結ぶ直行便が増えたことで、訪日観光のハードルが下がり、さらなる観光客の増加につながっています。このように、地方空港が台湾からの訪日観光客を多く引き付けた背景には、直行便の新設や増便、地方ごとの観光資源を生かした効果的なプロモーション活動があると言えます。また、台湾人旅行者が都市部だけではなく、地方の魅力や体験型観光に注目し始めているトレンドも影響しています。

香港

香港では、台湾と同じように那覇空港がランクインしています。また、高松空港、鹿児島空港、熊本空港といった日本南部の空港もランクインしているのが特徴です。その理由としてやはり台湾と同じく距離が近いということが挙げられるでしょう。

表3. 港別訪日香港人の入国数(2022〜2024年)
参照:法務省 出入国在留管理庁 「出入国管理統計」

表3は2022年から2024年の出入国管理統計を比較したものです。2023年は、高松空港、熊本空港の2つの地方空港がトップ10にランクインしました。これまで観光地としては注目度の低かったこれらの空港がランキング入りを果たした背景には、どのような理由があるのでしょうか?

地方空港のランクインを支えた背景

近年、香港からの観光客は、日本の大都市圏だけでなく地方都市にも目を向けるようになっています。その背景には、地方ならではの体験型観光の魅力や、観光の多様化を推進する日本のプロモーション戦略があります。以下では、3つの空港ごとにその理由を詳しく解説します。

  1. 高松空港 – 四国の魅力が香港に届く

高松空港は四国地方の玄関口であり、香川県をはじめとした四国エリア全体へのアクセスに優れています。特に、四国八十八ヶ所巡りや直島・豊島などのアートスポット、讃岐うどんの名所が香港の観光客に人気を集めています。

また、香港と高松を結ぶ直行便の開設や増便が、アクセスのハードルを大きく下げたことも要因です。さらに、香川県が香港市場をターゲットにした観光プロモーションを積極的に展開し、地域の認知度が向上しました。これにより、四国が新たな観光先として脚光を浴びる結果となったのです。

  1. 熊本空港 – 「くまモン」と地域観光の成功

熊本空港の躍進は、熊本県の観光プロモーションの成功を語る上で欠かせません。特に、熊本県のマスコットキャラクター「くまモン」の人気は香港でも高く、観光地としての熊本のブランド力向上に大きく寄与しました。

さらに、阿蘇山の絶景や黒川温泉といった観光資源が、自然を愛する香港の旅行者にとって魅力的なポイントとなっています。熊本は地震からの復興を経て観光地としての魅力をさらに高めており、香港市場に向けた積極的なプロモーション活動が実を結んだと言えるでしょう。

韓国

韓国で特徴的なのは比田勝港、博多港、関門(下関)港がランクインしていることです。この要因も台湾や香港と同じく地理的近さが考えられます。

図4. 港別訪日韓国人の入国数(2009〜2024年)
参照:法務省 出入国在留管理庁 「出入国管理統計」
博多港の入国者数減少の背景

図3を見ると、2016年以降、博多港の入国者数が減少する一方で、比田勝港の入国者数が急増していることが分かります。この変化の背景や要因は何でしょうか?

  1. 韓国路線の減便や船便の変化
    韓国と福岡を結ぶフェリー便や高速船便の運航本数が減少したことで、博多港を利用する韓国人観光客の数が減少しました。また、LCC(格安航空会社)の普及によって、韓国から福岡空港への移動がより便利になった点も影響しています。
  2. 地方観光の魅力と多様化
    近年、韓国人旅行者の旅行先の選択肢が広がり、大都市圏だけでなく地方を訪れる観光トレンドが広がっています。福岡市中心部だけでなく、九州全体を巡る観光ルートが人気を集めた結果、必ずしも博多港を経由する必要がなくなったことが考えられます。
比田勝港が選ばれる理由

対照的に、比田勝港を利用する韓国人入国者数が急増している理由には、以下のポイントが挙げられます。

  1. 対馬の観光需要の拡大
    比田勝港は長崎県対馬に位置し、韓国から最も近い日本の港です。地理的な近さを活かし、対馬は日帰りや短期旅行の人気スポットとなっています。豊かな自然景観や歴史的遺跡、美味しい海産物などが韓国人旅行者を引き付けています。さらに、釜山や近郊都市からのアクセスが便利なことも魅力の一つです。
  2. ビザ要件の緩和と短期観光の流行
    日本と韓国の間でのビザ要件の緩和により、韓国人旅行者が気軽に日本を訪問できるようになったことが、比田勝港の人気に拍車をかけました。近距離でアクセス可能な対馬は、短期観光のニーズを満たす目的地として選ばれています。
  3. 韓国側の交通インフラの改善
    比田勝港が選ばれる理由の一つとして、韓国側の交通インフラの改善が挙げられます。特に、韓国の釜山港や慶尚南道から対馬へのアクセスが向上したことで、旅行者にとって移動が一段と便利になりました。釜山港から比田勝港までの距離は約49.5kmと非常に近く、フェリーや高速船を利用すれば約1時間30分程度で到着することができます。この短距離とスムーズな移動は、日帰り旅行や週末旅行に最適な選択肢として多くの韓国人旅行者を引き付けています。また、高速船の増便や運航時間の拡大も、比田勝港を利用する観光客の増加を後押ししています。さらに、釜山や近郊都市から港までの公共交通機関が整備されており、アクセスの利便性が大幅に向上しています。釜山駅から釜山港への移動は車で約20分程度と短時間で済み、旅行のストレスが少ないのも魅力的な要因です。

地方空港や港湾の利用は、訪日観光の多様化を象徴しています。韓国や台湾、香港の観光客が地方に足を運ぶ背景には、空港や港の利便性向上が欠かせません。

さいごに

訪日外国人の空港選びに影響を与える要因として、直行便の充実、地方空港の利用増加、そしてLCCによる利便性向上が挙げられます。特にアジア圏の観光動向を見ると、地方空港やLCCの役割が益々重要になっています。これらのデータを基に、空港別のプロモーション強化が、訪日観光の拡大に繋がるでしょう。

インバウンド観光を支えるデータ活用法

これらのデータを活用することで、地域やターゲット層に最適化されたマーケティング施策を展開可能です。Vpon JAPANでは、訪日外国人の移動データや消費行動を分析し、インバウンドマーケティングを強化するためのソリューションを提供しています。観光施策を成功に導くために、データを活用したマーケティング戦略をぜひご活用ください。

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