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りんごと台湾と日本

June 23, 2021

・はじめに

日本は他国と比較しても、輸入よりも輸出の割合が圧倒的に少なく訪日インバウンド以外で外貨を獲得していく方法としても課題となっています。それでも政府のサポートもあり、右肩上がりで輸出量は伸びていますが、輸出先国別で見ると1位は香港、2位中国、3位米国、4位台湾、5位ベトナムという順番になっています。成長率でみると、香港は前年比+1.1%、中国は+6.6%、米国は-4.0%、台湾では前年度比で+8.0%の上昇となっており、輸出が上昇しているケースというも珍しくありません。

・日本のりんごの輸出先(国別)

2020年の日本のりんごの輸出先を見ると、台湾が圧倒的な比率であり78%を占めています。2位は香港で17%となっています(以下の図1参照)。また金額で見ると、台湾向けのりんご輸出額は71億円にもなり、これは日本から台湾へ輸出している農林水産物・食品の中で最も多い金額となっています(※ 農林水産省)。

しかも2020年だけでなく、2017年以降はりんごが連続で1位となっており今後も台湾への日本りんごは注目が集まります。これまで台湾では日本の高級フルーツが、春節や贈答目的などにより人気でしたが、昨今では一般のスーパーにも日常用として陳列され、甘い日本の果物は人気が高まっているようです。

りんごの輸出

図1:日本のりんごの輸出先(2020年)

2021年2月の日本経済新聞の記事から見ても、以下のように巣ごもり消費の影響が上昇の一つの要因となっているようです。

”2月中旬の春節(旧正月)は果物輸出が年間で最も盛り上がるイベントだ。昨年は新型コロナウイルスの感染急拡大や香港の大規模デモで低調だったが、今年の輸出各社のリンゴやイチゴの販売は堅調だ。

主要仕向け先の台湾や香港に果実を輸出する青果仲卸(東京・大田)は「イチゴの春節向け販売量は昨年の2倍以上」と話す。青森県の青果商社は台湾向けリンゴの販売額が昨年より3割多かったという。

コロナ禍は収束していないが「日本と同様、巣ごもりでおいしい果物を楽しもうとする雰囲気があるようだ」(別の青果仲卸)。特に「台湾と香港の引き合いは強い」との声が多い。”

 

以下のグラフ(図2)では、日本から各国へのりんご輸出量の推移ですが、こちらを見ても台湾への輸出が多くの割合を占めています(オレンジ色の部分が台湾)。また香港の割合も2014年度あたりから増加していることも読み取れます(青色の部分が香港)。

りんごと台湾と日本

図2:日本のりんごの輸出量(輸出先国別)

以下のグラフ(図3)では、台湾からの目線でみた輸入量になります。台湾がどの国からりんごを輸入しているかということが示されていますが、日本(赤い線)が圧倒的に多いかというと実はそうではありません。毎年10月から2月の期間に日本のりんごが輸入されており、アメリカも同様の動きとなっています。秋は国慶節/国慶日などの連休があり、年末をまたいで1月後半から2月には旧正月の春節の時期にあたります。日本は基本的にアメリカの動きをなぞるように2番手の位置づけになっています。

また4月から9月の暑い時期は、チリとニュージーランドからのりんご輸入が多くなっています。特にチリからの輸入量が毎年5月6月に突出して高くなっている様子が伺えます。

りんごの輸出

図3:台湾のりんご国別輸入統計

・検索数から見るニーズの推移

横軸が日時(2016年から2021年)となり、縦軸が検索数のインデックスになります(Googleトレンドより参照)。以下は日本のりんご(実際のワードは日本蘋果)の台湾での検索数の推移となっており、年によっても異なりますが、やはり9月10月の検索数は増加している傾向が見られます。また、12月や1月に検索数が増加している年も見られます。先程の輸入量の時期よりも1ヶ月程度早めに検索数が上がってくる傾向となっています。

りんご検索数

図4:台湾における「日本のりんご(日本蘋果)」検索数

以下は同様に台湾での「日本のぶどう(実際のワードは日本葡萄)」の検索数のインデックスです。大きな山は2016年の9月、2018年の9月、2020年の9月あたりが挙げられます。毎年、秋にぶどうの検索数があがっていることが読み取れます。

ぶどう検索数

図5:台湾における「日本のぶどう(日本葡萄)」検索数

以下も同様に台湾での「日本のいちご(実際のワードは日本草莓)」の検索数のインデックスです。イチゴの場合は毎年、1月2月あたりに検索のピークがくる傾向となっています。

いちごの検索数

図6:台湾における「日本のいちご(日本草莓)」検索数

・さいごに

時期に関しては、品種を含め、良い品質や状態を保つ上での影響が大きいと想定されますが、検索数によるニーズについても比較的に同期していることから、ある程度日本の果物がどの時期に市場に出るかが経験上認知されているのかもしれません。また逆説的ではありますが、まだ検索の山が安定していない観点でみると、認知している人とまだまだ日本の果物事情が認知していない人が混じっている成長市場とも解釈できます。

参照

・農林水産省2021年

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_info/attach/pdf/zisseki-283.pdf

・日本経済新聞2021年2月10日

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODJ098YI0Z00C21A2000000/