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なぜその空港? アジアの訪日外国人が使う空港・港の謎

なぜその空港? アジアの訪日外国人が使う空港・港の謎

■概要

・港 (海、空を含む)別に訪日外国人数を見ると成田国際空港が1位だがアジア別で見てみると関西国際空港が1位
・関西国際空港はアジア方面からの発着数が日本国内の空港の中で1番多い
・中国は直行便の多さと観光のしやすさがポイント
・台湾は地理的近さと就航便数の多さがポイント
・香港は地理的近さと新規就航がポイント
・韓国は唯一港がランクインしており、地理的近さがポイント

訪日外国人が増加している昨今、日本は島国のため、訪日外国人は飛行機と船で日本に訪れ流必要があります。

そんな中で、訪日外国人はどのようなルートで、そしてどこの空港から日本へ入国しているのでしょうか?
今回はアジアを中心に法務省入国在留管理庁の「出入国管理統計」から明らかにしていきます。

港別入国外国人数

図1. 港別訪日外国人数(2017)

図1. 港別訪日外国人数(2017)
参照:法務省 出入国在留管理庁 「出入国管理統計」

上図は2017年の訪日外国人の入国数の総数を空港と港湾別に見たものです。

入国者数1位 成田国際空港
成田国際空港は国際線において旅客数、発着便数・就航都市数、総就航都市数、乗り入れ航空会社数、拠点空港としている航空会社数、貿易額が日本最大の空港です。国際拠点空港の1つとして様々な国の訪日外国人が成田国際空港から入国し、日本中を旅しています。

入国者数2位 関西国際空港
関西国際空港は成田国際空港と並んで国際拠点空港と位置付けられています。また、海上に空港があることから騒音の心配がなく、日本で初めて旅客・航空貨物の両方で24時間運用を開始しました。
西日本最大のハブ空港として西日本と西日本を旅行する訪日旅行者を繋いでいます。

入国者数3位 東京国際空港(羽田空港)
東京国際空港(羽田空港)は国際線と国内線を合わせた発着数、旅客数はともに国内最大の空港です。また、国際線、貨物においてのみ24時間運用を行っています。
東京に最も近い国際空港として多くの訪日外国人に利用されています。

 

これらの空港に次いで、アジアと日本の玄関口としての役割を果たす福岡空港と那覇空港や国際線の新規路線が増加している新千歳空港や中部国際空港が続きます。

 

港別で見てみると、やはり成田空港が一番多いことがわかります。

成田空港は上述の通り、国際線の就航都市数などが一番多く、また東京から近いこともあり、1位ということも頷けます。

そして2位を見てみると、なんと2位は羽田空港ではなく関西国際空港となりました。

関西国際空港は西日本における空の玄関口ということや、関西への旅行人気の高まりもあり、2位となりました。

 

港別アジアからの出入国数

それでは、アジアからの訪日外国人はどのように日本に入国する人が多いのでしょうか?
今回は、中国、台湾、香港、韓国を例に見てみます。

表1. 港別訪日外国人数(中国、台湾、香港、韓国)

表1. 港別訪日外国人数(中国、台湾、香港、韓国)
参照:法務省 出入国在留管理庁 「出入国管理統計(2017)」

表1は国別で入国数が多い港順に並べたものです。
この表からなぜアジア圏訪日客はその空港や港を利用するのか、考えられる要因を明らかにしていきます。

1. 関西国際空港が1位の不思議

図1と比較すると、どの国も1位は成田国際空港ではなく関西国際空港であることがわかります。この現象はアジア圏のみに見られ、他の国ではほとんど見られません。

その理由として運航便の多さが挙げられるのではないでしょうか。実は全空港の中で中国、台湾、香港、韓国行きの定期便数は関西国際空港が1番多いのです。2019年の夏ダイヤによると関西国際空港のアジア方面の定期便数は1122本にのぼります。そのうち914本が中国、台湾、香港、韓国行きの定期便です。それが関西国際空港が1位である理由の1つと考えられます。また、その中でも関西国際空港は日本最大のLCCの就航都市数を誇ります。2012年に日本初のLCC専用ターミナルがオープンして以来、LCCの就航数を増やし、LCCの就航数とともに旅客数は急増しました。その結果2012年には16,804,000人だった旅客数は2018年には29,404,000人と約1.7倍増加しました。

表2. 訪日韓国人の都道府県別訪問率ランキング

表2. 訪日韓国人の都道府県別訪問率ランキング
参照:訪日外国人消費動向調査 都道府県別訪問率から抽出

特に韓国を見てみると、表2のように大阪、京都へ訪問した韓国人は徐々に増加していることがわかります。特に、多くの韓国系LCCが増便した2015年以降は大阪は訪問率1位に、また京都も訪問率が上がっています。
これらの要因が関西国際空港が1位となった要因と考えられます。

2. 中国

訪日中国人の港別入国数ランキングの特徴として、関西国際空港、成田国際空港、羽田空港はもちろんですが、中部国際空港は他の国より上位にランクインしています。また、中国のみ富士山静岡空港や茨城空港がランクインしています。
中国の都市への就航数と観光のしやすさがポイントとなります。

中国国内への就航都市数では関西国際空港や成田国際空港に次いで中部国際空港が多く、19の都市に路線があります。そのため様々な中国の都市から訪れることができる点で中部国際空港を利用する訪日中国人が多いと考えられます。また、中部国際空港は名古屋までのアクセスが容易であること、そしてゴールデンルートの出発地点として東京や大阪、京都などへのアクセスのしやすさが入国数の多い要因と考えられます。
富士山静岡空港や茨城空港も同様のことが言えます。富士山静岡空港では上海のほか武漢、杭州、煙台、寧波と路線を結んでおり、またゴールデンルートの出発地点としての利便性を兼ね備えています。2017年には国際線利用者の半数以上が中国線の利用者でした。
茨城空港では路線は上海のみではあるものの、中国最大手のLCC春秋航空が就航していることや東京まで比較近く、バスで東京まで片道500円で行くことができることから、安く日本を訪れることができることがランクインした要因であると考えられます。

3. 台湾

訪日台湾人の港別入国数ランキングの特徴は、那覇空港が3位にランクインしていることと、北海道の空港が2つランクインしていることです。

那覇空港が3位にランクインした要因として地理的近さが考えられます。台北から那覇の距離は627kmと近く、沖縄は1番近くて気軽に行ける日本として多くの訪日台湾人が訪れていると考えられます。
そして北海道の新千歳空港とともに函館空港が入っている要因として5本の台北行きの定期便が就航していることが挙げられるでしょう。

図2. 訪日外国人来道者数

図2. 訪日外国人来道者数
参照:北海道庁観光局 北海道観光入込客数の推移より作成

図2を見ると、函館空港就航以前も台湾における北海道人気の高まりによって徐々に訪日数を増やしていましたが、平成24年に函館空港で台北行きが初就航すると、翌年には415,600人に急増していることがわかります。

台湾では地理的近さから那覇空港のように気軽に日本行けること、そして函館空港のように就航便ができたことで気軽に行けるようになったことでこのようにランクインされたものと考えられます。仙台空港や小松空港も同様のことが言えるでしょう。

4. 香港

香港では、台湾と同じように那覇空港が3位にランクインしています。また、鹿児島空港や石垣空港といった日本南部の空港もランクインしているのが特徴です。

その理由としてやはり台湾と同じく距離が近いということが挙げられるでしょう。また鹿児島空港は10本の定期便が運行されており、便数の多さから気軽に行きやすいということも要因として考えられます。 そしてもう1つの特徴として就航を開始したばかりの空港が多くランクインしているということです。

表3. 港別訪日香港人の入国数(2016〜2017)

表3. 港別訪日香港人の入国数(2016〜2017)
参照:法務省 出入国在留管理庁 「出入国管理統計」

表3は2016年と2017年の出入国管理統計を比較したものです。
2016年は広島空港と岡山空港がランクインしていることがわかります。これは2015年に広島空港ではキャセイドラゴン航空と香港エクスプレスが就航し、キャセイパシフィックも増便、そして岡山空港では2016年3月に香港航空が就航したことが影響していると考えられます。
翌年の2017年には石垣空港と高松空港がランクインしています。これも前年の2016年に香港エクスプレスが石垣線、高松線の就航が開始されました。鹿児島空港もランクは落ちていますが、2016年に香港エクスプレスが就航したことで入国人数が増えていることがわかります。

5. 韓国

韓国で特徴的なのが比田勝港や博多港が港で唯一ランクインしていることです。この要因も台湾や香港と同じく地理的近さが考えられます。

比田勝港は対馬にある港です。比田勝港では日韓合わせて5社のフェリーと高速船が対馬〜釜山間を運航しています。対馬は釜山から約50kmに位置していることから対馬は韓国から1番近い外国です。実際に昨年は40万人の訪日韓国人が対馬を訪れたそうです。また博多港も同様に3社の定期船が博多と釜山の間を運行しており、港だけでなく空港においても福岡空港が2位にランクインしていることや北九州空港がランクインしています。その影響もあり、福岡では訪日外国人のうち51.2%が韓国人なのだそうです。
訪日韓国人にとって、対馬や福岡は気軽に行ける外国であるという認識が強いのではないかと考えられます。

まとめ

今回、港別に入国ルートを見てみると全体的に「身近な外国」ということがポイントとなることがわかりました。地理的な近さももちろんのこと、自分が住んでいる地域の近くから直行便で行けることや安く行けることが非常に重要となっているようです。

日本のインバウンドにおいて中国、台湾、香港、韓国の訪日人数が特に多く、これからも注視しなければなりません。
今回は彼らがどのようなルートで日本に入国しているかを明らかにしましたが、インバウンド対策にはその先のどこへ行って、何をして、どうやって帰ったかということを知る必要があります。
本記事とともに、その先の訪日外国人の動向を考えてみるきっかけとなれば幸いです。