小田急電鉄株式会社

小田急電鉄株式会社
データソリューション
GA4活用支援

「見える化」が組織を動かす!
〜データ統合管理で実現した観光DX 〜

小田急電鉄株式会社

2025.06.10

観光事業開発部 課長代理 国内マーケティング・地域連携担当 関根 怜一 氏
観光事業開発部 箱根伊豆担当 大河内 茂樹 氏
観光事業開発部 国内マーケティング・地域連携担当 井上 亜由美 氏

江の島・鎌倉エリアなどの小田急沿線の観光活性化を担う小田急電鉄株式会社では、複数チャネルで展開されるマーケティング施策と販売データの“構造的な分断”が課題となっていました。こうした状況を打開すべく、GA4の再設定とBigQueryによるアクセス・販売・施策データの統合管理に着手。Webマーケティングの現場で生じていた煩雑な業務の効率化と、意思決定に資するデータ基盤の構築を同時に実現しました。本記事では、導入の背景から検討プロセス、導入  後の変化、そして今後の展望までを担当者の声を交えてご紹介します。

課題
  • GA4移行時の設定不備により、正確なユーザー行動の把握や効果検証が困難
  • チャネル別販売データが分断しているため全体が把握しづらく、全社的な共有体制が確立できない状態 
  • データ集計・集約・加工が煩雑で、多大な時間や工数を要していた
施策
  • GA4設定を見直し、クロスドメイン計測やコンバージョンの計測精度を改善
  • BigQueryを活用してアクセス・販売・施策データを統合し、社内外共通の指標に基づき可視化
  • Looker Studioを活用したレポートの自動化と、データ連携プロセスの効率化
効果
  • 信頼性の高いデータに基づく分析が可能になり、施策評価の精度が向上
  • データ統合と可視化により社内外の連携が促進され、PDCAが活性化
  • SNSレポートの定型業務が自動化され、作業時間が90%以上削減
  • チャネル別販売データの集計にかかる工数が50%削減

SUMMARY

小田急電鉄株式会社_(左から、小田急電鉄株式会社 観光事業開発部 課長代理 国内マーケティング・地域連携担当 関根 怜一 氏、観光事業開発部 箱根伊豆担当(Web戦略) 大河内 茂樹 氏、観光事業開発部 国内マーケティング・地域連携担当 井上 亜由美 氏)
(写真左から、小田急電鉄株式会社 観光事業開発部 課長代理 国内マーケティング・地域連携担当 関根 怜一 氏、観光事業開発部 箱根伊豆担当 大河内 茂樹 氏、
観光事業開発部 国内マーケティング・地域連携担当 井上 亜由美 氏)

導入の背景

ー 今回の施策に至った背景を教えていただけますか

大河内コロナ禍を経て観光需要が回復する中、観光プロモーションに対する投資対効果を最大化する必要性を強く感じていました。そうした中、江の島・鎌倉エリアでは、来訪促進やチケット販売、分散観光を目的としたWebマーケティングを行っており、Webサイト運営やオンライン広告、SNS、交通広告など、複数のチャネルを組み合わせた施策を展開してきました。ただ、施策に紐づくデータが個別に管理されていたため、施策の効果検証や最適化が難しいという課題がありました。

また、 GA4 移行後の設定不備によりクロスドメイン計測やコンバージョン把握に不具合が生じていたため、GA4 設定の見直しと評価精度の向上が急務となっていました。さらに、加えて、デジタルチケットと紙チケットがチャネルごとに別管理されていたこともあり、全体最適を実現するために、GA4 最適化と BigQuery 導入を決断しました。

中期経営計画にて掲げられているDX戦略と連動した取り組みでしょうか?

関根はい、まさにその通りです。
当社では、DXを経営ビジョンの中核に据えており、「戦略的なデータ活用」や「業務のスマート化」は重要なテーマとして位置づけています。今回のプロジェクトも、そうしたDX戦略を意識した取り組みの一つとして進めてまいりました。GA4の最適化やBigQueryを活用して社内外に点在していたデータを整理・可視化し、業務で活用できる形に再構成したことで、データの透明性が高まっただけでなく、「データを活かしてどう動くか」を組織として考えられる仕組み=“意思決定と行動のアップデート”が起き始めていると感じています。

Vponを選んでいただいた理由

ー 競合サービスやグループでの内製も視野に入っていましたか?

大河内:実際に検討段階では複数の企業さんにお声がけをしていましたし、社内にも既にいくつかのツールが存在していたので、その活用も視野に入れていました。たとえば、他部門ではAWS環境を構築していたり、マーケティング領域ではb→dashを使っていたりしていたので、「本当にBigQueryを導入すべきなのか?」という点では、かなり悩みました。
ただ、我々の部門においては、GA4やSearch Console、Google広告、Looker StudioといったGoogleのツールを日常的に使っていたこともあり、それらとの親和性は非常に重要な観点でした。
その中で、今回のプロジェクトにおいては「既存の業務に無理なくフィットするかどうか」、そして「将来的な拡張性も視野に入れた設計が可能かどうか」という点が大きな判断材料になりました。

ー 最終的に当社をお選びいただいた決め手は何でしたか?

大河内:一番の決め手になったのは、御社が「こちらの目的や状況にしっかり寄り添ってくれた」ことですね。単にツールを導入するだけでなく、我々がすでにやってきた「データの収集・集約・可視化」といった業務をどう最適化していくか、さらには将来的にグループ会社や他部門にも展開していきたいというビジョンにまで丁寧に耳を傾けてくださいました。

あとは、「ただの情報共有用のレポート」ではなく、誰にとっても理解しやすく、業務や意思決定に本当に活かせる可視化を実現したいという想いがありました。
その点でも、難しいものをただ作るのではなく、リテラシーの高くないメンバーにも伝わる設計を意識してくれたのは、御社だけだったと感じています。

Vponが提供したデータ統合管理の構成図

構成図

導入後の効果

ー 具体的にどのような部門・業務で活用が進みましたか?

井上氏:「今回の取り組みでは、まずWebマーケティングやSNS運用を担当するチームからデータ活用が進みました。特に『江の島・鎌倉ナビ』では、これまで手作業だったSNSの月次レポート作成が自動化され、業務効率が大きく改善しました。また、グループ会社が管理していた紙のチケット販売データも統合することができ、販売チャネルごとの傾向を俯瞰的に分析できるようになったのは大きな前進です。
ダッシュボードを通じて社内外で共通のデータをもとに議論できる体制も整いつつあり、今後は他エリアや事業への展開も視野に入れています。また、導入を機にチーム内では“データを見る・使う”という文化が根付きつつあります。以前は数字に苦手意識を持っていたメンバーも、視覚的にわかりやすいレポートに触れることで、主体的にデータに向き合うよ うになってきました。

ー 数値的な成果があれば教えてください。

井上氏:SNSの月次レポート作成に丸1日かかっていましたが、データ基盤の整備により集計・加工プロセスが自動化され、現在では作業時間がほぼゼロになりました。また、集計や加工の段階で発生する可能性のある人的ミスも解消され、安定的にリアルタイムなレポートを確認できるようになっています。以前はデータをダウンロードしてコピペするなかで文字化けやフォーマット崩れが頻繁に起きていましたが、今はそうした煩わしさもなくなり、業務全体の効率が大きく向上しています。

大河内氏:チケット販売データも同様で、以前は各所から個別に集めたデータをスプレッドシートにまとめ、加工して可視化していましたが、今ではその作業が不要になり、大幅な時間短縮が図れています。ダッシュボードの表示スピードも格段に向上し、他部門から 「うらやましい」と言われることもあります。

関根氏:単純作業の時間が減った分、チーム全体で“考える業務”にしっかり時間を割けるようになりました。業務のメリハリがつき、スピード感も出てきたと感じています。また以前は、施策の判断や振り返りが感覚的になりがちだった場面もありましたが、今ではデータを起点とした対話が自然と生まれ、仮説と検証のサイクルが素早く回るようになってきました。

小田急電鉄株式会社 事例取材
(写真左から、小田急電鉄株式会社 観光事業開発部 課長代理 国内マーケティング・地域連携担当 関根 怜一 氏、観光事業開発部 箱根伊豆担当 大河内 茂樹 氏、
観光事業開発部 国内マーケティング・地域連携担当 井上 亜由美 氏)

今後の展望・メッセージ

ー 今後更に推進したいデジタル領域や構想があれば教えてください。

関根今回の取り組みを起点に、今後はエリアごとの最適施策や商品開発、運用効率化などを加速していきたいと考えています。観光以外のグループ会社への展開も視野に入れており、最終的にはAIや機械学習を活用した需要予測など、未来志向のマーケティングにも取り組んでいきたいです。

大河内氏:現時点ではチケットやWebサイトのデータを一元管理していますが、今後はグループ会社が保有する購買データや交通系データ、さらにはオープンデータなども統合し、より広い視点での分析を実現していきたいです。

ー 同じような課題を抱える企業に向けてアドバイスがあればお願いします

大河内アクセスデータや販売データの可視化や活用といった取り組みは、すでに多くの企業でも始まっているかもしれません。
ただ私たちの経験からお伝えしたいのは、“データをどう活用するか”だけでなく、“どうすれば無理なく、効率よく活用が定着するか”という視点がとても重要だということです。
今回の取り組みでは、可視化されたデータを活かすだけでなく、レポート作成の自動化やデータ連携の効率化に取り組んだことで、データ活用そのものがチームの“日常”として自然に根づいていく流れが生まれました。
このように、まずは小さな業務改善から始めて、「無理なく使える仕組み」をつくることが、結果としてデータを活かす組織文化の土台になると感じています。DXというと大きな変革をイメージしがちですが、日々の業務の中で「このデータがあれば助かる」「この作業が自動化できたらラクになる」という小さな声に向き合うことが、DXのはじまりだと思います。
ぜひ、自社にとって“使える・使われるデータ活用”とは何かを見つめ直し、そこから一歩ずつ進めてみてください。

Vponご検討の方へ一言

井上氏技術力はもちろんですが、「クライアントに寄り添ってくれる安心感」が非常に印象的でした。
我々の理解度や状況に合わせて丁寧に説明してくださり、どんな場面でも“相談しやすい”という心理的なハードルを下げてくれたことは、導入プロセス全体を円滑に進めるうえで非常に大きかったと感じています。
また、我々の業務や判断の流れを深く理解したうえで、「設定」や「可視化」にとどまらず、“どう活用するか”まで見据えた提案をいただけたことは、パートナーとしての信頼につながりました。
ツールの導入だけでなく、業務への浸透や活用の定着まで伴走いただいたことで、実務レベルでも大きな成果が得られたと感じています。今後は、社内のデータリテラシー育成や、さらなる活用支援のフェーズに進んでいくことを見据えて、
弊社が掲げている“観光×DX”の推進に向けて、より広いフィールドで一緒に価値を創り出していけたら嬉しいです。

小田急電鉄株式会社
(写真左から、Vpon JAPAN株式会社 取締役プロダクトマーケテ ィング担当役員 木ノ内 宣行、小田急電鉄株式会社 観光事業開発部 課長代理 国内マーケティング・地域連携担当 関根 怜一 氏、観光事業開発部 箱根伊豆担当 大河内 茂樹 氏、観光事業開発部 国内マーケティング・地域連携担当 井上 亜由美 氏)
小田急電鉄株式会社事例

企業名

小田急電鉄株式会社

所在地

・新宿本社:東京都新宿区西新宿2丁目7番1号

・海老名本社:神奈川県海老名市めぐみ町2番2号 ViNA GARDENS OFFICE

事業内容

鉄道事業
不動産業
その他事業

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