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台湾経済で近年注目されているキーワードが「富裕層」です。
2025年時点、平均所得は過去最高を更新し、年収1,500万円以上の高所得者層が過去最多を記録しました。
かつては「富裕層=台北」という構図が一般的でしたが、今ではその中心は新竹(Hsinchu)へと移りつつあります。
TSMC(台湾積体電路製造)やMediaTekなど、世界の半導体サプライチェーンを支えるハイテク企業の成長が、新竹を「台湾のシリコンバレー」へと押し上げています。
台湾富裕層の地域別所得税額ランキング
台湾政府の最新統計によると、新竹市エリアが平均所得ランキングの上位を独占しています。
特に新竹市東区は、平均所得が日本円換算で約1,500万〜2,000万円(※1 TWD=4.97円換算)に達しています。
このランキングから見えてくるのは、もはや富裕層の中心地は台北ではなく新竹であるという事実です。
参照:綜合所得稅所得總額全國各縣市鄉鎮村里統計分析表2025年
2025年10月27日時点の為替レート(1 TWD ≒ 4.97 円)をもとに換算
新竹市東区
なぜ新竹市に富裕層が多いのか?
新竹市が富裕層の街へと成長した背景には、半導体産業の集積があります。
1980年に設立された「新竹科学園区(新竹サイエンスパーク)」には、TSMC、MediaTek、ASEなどの世界的テクノロジー企業が密集。
世界的な半導体需要の高まりとともに、これら企業の技術者・管理職の給与水準が急上昇しました。
新竹の富裕層は、伝統的な資産家ではなく、テクノロジーで成功した新興エリート層。
彼らは高学歴・高スキルを武器にグローバル市場で活躍し、さらにストックオプション制度(ESOP)によって企業株式を保有しながら資産を拡大しています。
「技術で稼ぎ、株で育つ世代」とも言えるでしょう。
街を歩けば、高層マンション、高級スーパー、インターナショナルスクール、医療機関が並び、教育熱心な家族層が多く、“台湾版・文京区”とも呼ばれるほど。
台北まで1時間圏内の利便性もあり、都市の快適さと郊外の豊かさを両立する理想的なエリアです。
さいごに
台湾の富裕層市場は、もはや台北一極ではありません。
“新竹=テクノロジーで富を築く街”という新しい構図が明確になっています。
この都市のエリート層は、購買力・教育熱・国際感覚のすべてを兼ね備えた存在であり、日本企業にとっても最重要ターゲットです。
今後、データドリブンなマーケティングを展開する上で、「新竹」は間違いなく注目すべきエリアとなるでしょう。