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【特別インタビュー】長野県が目指す持続可能な観光とは?長野県観光機構×Vpon JAPAN(後編)

長野県観光機構インタビュー後編です。

前編をチェックしていない方は右リンクをクリック→ 長野県が目指す持続可能な観光とは?長野県観光機構 × Vpon JAPAN(前編)

引き続き、長野県観光に携わるお三方に話を伺いました。

矢沢 哲也さん

長野県観光機構 デジタルマーケティング部 部長。

行政の職員として、長野県観光のデジタルシフトを担当。その後、長野県観光機構へ異動し、現在は3年目を迎えている。

Kさん

長野県観光機構アドバイザー。

観光業の経験がないからこそ、何か変えられるに違いないと信じている。キャンプ愛好家。

Sさん

数多くのメディア媒体に編集者として携わる。2016年に東京から長野へ移住。

長野県観光公式サイトGo NAGANOで編集長を担当。

個人に焦点を当てた観光へ 〜長野県の取り組み〜

Mami:コロナ禍に開始された『ヒトタビトーク』は、人を起点とした旅を提案されていて、関係人口創出に力を入れているのでは?と感じました。どういった取り組みをされているのかお聞きしたいです。

矢沢さん:結果的に関係人口という言葉で括られてしまうと思うのですが、『ヒトタビトーク』は長野県へ移住される方を増やしたいわけではなく、人生の今、ここで、この地域の人たちと関わりたい!という人に向けて、観光の視点でアプローチできないかと思って始めました。

人を起点に、人が動いているというところは、地域を見ていてあるなと思っていて、

ツアーで通り過ぎるんじゃなくて、その後も訪れてくれるようなファン層をどう獲得していくか?という視点で現在トライしています。今後は、オフラインのツアーの企画もやってみると面白くなるんじゃないかなと思っているところです。

ヒトがきっかけになるような旅を提案するライブ配信番組。長野県内で活躍するゲストを迎え、その人と暮らしている地域の魅力を紹介している。県内外のミレニアム世代を主なターゲットとし、SNSを通した県内コミュニティとの関係性構築に貢献している。

観光におけるファン作り

Kさん: 観光業の変化をいかに促進させていくかが求められている時代に、実際、新たな課題はウイルス対策ぐらいで、それ以外は元々あった課題だと認識しています。冒頭にもお話ししましたが、量を捌くものから脱却していく必要がある時に、その対極にある概念はファン作りなのではと思っています。

以前、「リピーターは商品やサービスにつくもの、ファンはそれを提供している人につくものだ」という、ファンとリピーターの違いを解説している記事を読んだことがあります。その解説が必ずしも100%正しいとは思いませんが、見方的に観光業は当てはまるのではと思いました。

旅行者側に多様なニーズがあり、またそれがさらに変化していくことに対応していこうと思うと、提供するサービスが均一ではいけないと思うんですね。そのためには、提供者側の個性をいかにサービスに反映できるかが一番重要です。面白いプレイヤーがどんどん観光業に入れば、少しずつ観光業も変わっていくのでは?と思います。

Mami:「リピーターは商品やサービスに、ファンは人につく」という見方は、その通りだなと思いました!というのも、7月に長野県の乗鞍(のりくら)高原へ行ってきたのですが、また訪れたい場所のひとつになったんです。その理由として、乗鞍の大自然に感動したのはもちろんですが、滞在したゲストハウスの方や地元の方の、「乗鞍が大好き」「乗鞍観光を盛り上げたい」という想いに心打たれたのが大きかったと思っています。

Kさん: やはり、大きなところは変われない事情があって、ゲストハウスや家族経営の宿は変化に対応しやすいと思います。そういったところが盛り上がると、ひとつひとつを見るとインパクトは少ないけれど、観光の足元からムーブメントは起きるのでは、という期待感はあります。

ファンの獲得方法など確固たる理論は持ち得ていませんが、御社が力を入れているデータを用いて分析する領域は、リピーターを増やすのにはとても有効だと思います。一方で、ファン作りはデータ分析のようなアプローチよりも、目の前のお客様としっかり向き合うことも重要なのではと考えています。

僕が今一番ファン・マーケティングで参考にしているモデルで、『ザッポス』というアメリカの有名な靴のECサイトについて詳しく書かれている「ザッポス伝説 2.0 ハピネス・ドリブン・カンパニー」という本があるんですけど、この世界観を長野の観光でやれたらと思っています。是非一度この本を読んでみてください(笑)

やはり、ファンになるという意味で言うと、提供者側の行為に対して相手がどういう感情になるのかを徹底的に突き詰めていくことが大切です。

私(Mami)が乗鞍を知り、この地域のファンになるきっかけとなった『乗鞍サステイナブルキャンプ』。乗鞍と持続可能な観光の未来について学び・考えるスタディーツアーで、旅の魅力を広める企業のTABIPPOさんが企画しました。その舞台である乗鞍を持続可能な地域するため、ゲストハウス事業やカフェを経営しているRaicho Inc.のCEO 藤江 佑馬さんが執筆した記事に、藤江さんのこれまでの経緯や持続可能な地域づくりへの取り組みが書かれています。まさにKさんがお話されたムーブメントが起きている真っただ中なので、是非読んでみてください!

https://loearths.com/2021/08/10/raicho-inc-businessplan/

インバウンド再開に向けて

Mami:では、最後の質問です。個人的な考えではありますが、インバウンドが再開したら有名な観光地以外の日本の魅力が広まり、訪日旅行者の分散化でインバウンドの恩恵が日本全体で受けられるような観光にシフトしてほしいなと思っています。Vponは観光に特化したアジアビッグデータを扱っているので、これからの日本の観光施策をデータ面でリードしていけるのではと思っています。

インバウンド回復に向けての取り組みや、これからに期待することはありますか?

矢沢さん: コロナ前の長野県と言えば、白馬、野沢などのスキーリゾートで長期滞在される方が多かったので、ワクチンが普及すればそういった方々は確実に戻ってくると思っています。また、観光資源が少ないような地域にも、海外の人が価値を感じて訪れていたので、日本人が見落としていた日本の田舎の良さや日常などのニーズはあると思います。

そもそも日本人と外国人の区分けをすること自体間違っていると、インバウンド関係者が口を揃えてお話しされているように、その認識を地域の観光事業者にも広め、海外の人たちにもっと注目されるように我々はサポートしていきたいです。そのためにも、今のうちに個人旅行者やミドルハイ層の方々が満足していただけるような環境を作っておく必要はあるんだろうと思っております。

Sさん: 過去の経験から、なぜ海外へ旅行するのかは「異質な文化を体験したい」というはっきりとしたテーゼがあります。例えば、御社のオフィスがある台湾だと、台湾の屋台文化を体感するために情熱を燃やしている日本人編集者は多いんです。

個人的に否定的に思っていたのは、海外から来た人が、母国よりも質の悪い洋食を食べさせられているという悲劇、これがショックだったんですね。なぜ、日本食をブラッシュアップしなかったのか?事実、リピーターとして訪れている海外の方にお話を伺うと、やはり「その土地のものが食べたい」と言うんですよね。ローカルのガストロノミーを追求した食文化を、インバウンドの人たちに提供することへの意識がもう少し必要なのではと思います。

今回、お話しできてよかったと思うのが、冒頭に阿部さんがヴィーガンについてお話しされていましたよね。海外の方のヴィーガンの意識は、日本人の想像のはるかに高いです。

日本は食材にとってはアドバンテージがある国だと思います。ヴィーガンに関しては穀類、野菜も充実しているので、逆に信州の名前で食の知名度が高い長野県は、ローカル・ガストロノミーとヴィーガンで推していく戦略はいいんじゃないか?という風に思っております。

左から、甘みの強い”高原レタス”、全国トップクラスのシェアの”ぶどう”、富士見町の”ルバーブ”。

Kさん: この質問に対して真正面からお答えすると、大量に捌くという観光が復活してしまわないことです。

先ほどの矢沢さんが、国内とインバウンドで分けることについてお話しされていましたが、それは僕もすごく思っています。この人たちを最大限に感動させるためには何ができるんだろう?ということを考えると、その人のバックグラウンドや趣味からの傾向は除いて、人種は関係ないですよね。

その中で加味すべき宗教等の問題はあると思うんですけど、相手を個人として捉え、何をして欲しい、何に困っているのか?に聞く耳を持った上で、そのリクエストに対して期待以上のサプライズで応えることが大事だと思っています。

インターン生 Mamiの学び 〜持続可能な観光とは?〜

アフターコロナは特に、“個人旅行“や”ファン作り”がキーワードとなり、これまで続いてきた観光のスタイルを変えられるかどうかが今後の分かれ道になっていると感じました。

例えば、海外の旅行者を迎える時など、観光業ではおもてなしという言葉を頻繁に使ってきたと思います。単にお客様が喜ぶであろうことを一方的に提供するのではなく、お客様が何に期待して、何に価値を感じて、ファンになるかを分析することが何より重要で、『持続可能な観光』は、それらの取り組みの延長にあると学びました。

インタビューはオンライン会議ツールで行いました。

インタビューにご協力いただいた、矢沢さん、Kさん、Sさん、本当にありがとうございました!

ご紹介いただいた本のリンク

ワークスタイル アフターコロナ https://www.amazon.co.jp/ワークスタイル・アフターコロナ-「働きたいように働ける」社会へ-松下-慶太/dp/4781619649

ザッポス伝説 2.0 https://www.amazon.co.jp/ザッポス伝説2-0-ハピネス・ドリブン・カンパニー-トニー・シェイ/dp/447810820X

終わりに

第一弾の長野県観光機構様とのインタビューはいかがでしたか?

インタビューをしてほしいや、この自治体や観光協会の取り組みを知りたい!などの推薦等もお受けいたします。その際は、インターン生Mamiが全力で取り組ませていただきます。

また、記事の感想等もお待ちしております!

(写真提供:長野県観光機構)