• 清明節のデータレポートからみる中国における旅行の新潮流

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清明節のデータレポートからみる中国における旅行の新潮流

■はじめに

中国では新型コロナウイルスの流行がある程度落ち着き、徐々に都市機能が回復しており、中国の観光関連企業も徐々に業務を再開しています。

そんな中で中国では外出制限が解除されて以来初の連休である清明節がありました。元々清明節はお墓参りをする日ですが、その日にお出かけをする人も少なくありません。 
清明節連休の4月4日から4月6日までの間で4325.4万人が旅行をしたそうです。前年に比べると61.4%の減少となりました。

交通機関や宿泊施設、観光地の予約数も清明節によって大きく増加しました。
中国大手の旅行予約サイトのCtripによると、交通機関の予約数は前月と比べると50%以上増加、宿泊施設は60%の増加、観光地に至っては144%も増加したことを明らかにしました。

しかし今年は新型コロナウイルスの影響で清明節のお出かけは例年と少し違ったものになったようです。
中国の旅行トレンドに一体どんな変化があったのでしょうか。
今回は中国の政府機関の一つである文化和旅游部直属の研究所、中国旅游研究院が発表した「2020年清明節假日旅游市場研究报告」や中国国内の各OTAが発表した今年の清明節のデータレポートから紹介していきます。

■自宅から近いスポットにお出かけ

中国旅游研究院は今年の清明節は「近距離マイカー旅行」が人気だったことを明らかにしました。
長らく外出制限により外出ができなかったことから、なるべく人との接触を避けたいが外出をしたいという思いがこの結果に繋がったようです。
マイカーでの旅行先としては営業を再開したばかりの動植物園や庭園、景勝地、そして春ということでピクニックが人気となり、その中でも特に自分が住む省の中の観光スポットに注目が集まりました。中国大手の旅行情報サイトマーフォンウォー(馬蜂窝)でも、清明節前の1週間、北京、上海、広州では「近郊へのマイカー旅行」がホットワードとして上昇しています。
また全国の多くの博物館、図書館、文化館、美術館などの公共施設が業務を再開したこともあり、これらにも注目が集まりました。
中国旅游研究院とチャイナユニコムのデータによると清明節中の平均活動距離は都市住民では3.6kmで今年の春節に比べると36.8%活動距離が伸び、郊外に住む住民では12.9kmで春節に比べると16.0%伸びたそうです。

そして交通機関も徐々に回復してきていることから、自分が住む省以外への旅行には高速鉄道で片道3時間以内にいけるも地域も人気だったようです。

■ 防疫対策が行われている観光地や宿泊地が人気に

中国各地では観光地や宿泊施設の営業が徐々に再開しています。
中国最大の口コミサイト大衆点評などを展開する美団が発表した「観光業及び宿泊業の営業再開率」によると、2月21日頃から全国の観光業、宿泊業ともに営業を再開するところが増え始め、清明節には観光業の再開率は65.8% 、宿泊業は71.0%となりました。

図 1 旅行業および宿泊業の営業再開率
出典:美団研究院「生活服務業復蘇指数」

しかし新型コロナウイルスが落ち着いてきたといってもまだまだ感染者が多い状況です。その中で観光客は防疫体制がしっかりと行われている観光地や宿泊施設を選ぶ傾向にあるようです。

多くの観光地では感染を防ぐために入場券はオンラインで実名制での購入、入場時はマスク着用のうえ、体温測定と健康碼という健康バーコードを提示し、非接触での入場などの対策を行っていますが、観光客もそのような対策をしっかりと行っていることを基準に訪問する観光地を決定しているようです。また、宿泊施設に関しても防疫対策やサービスがしっかり行われる高級ホテルやリゾートホテルに人気が集中しています。実際にCtripによると、Ctrip経由でホテルを予約した観光客の52%が4つ星または5つ星ホテルを予約したそうです。

中国国内の旅行予約サイトも観光客のそのような需要に合わせてプロモーション活動を行っており、美団では観光客に対して観光地や宿泊施設ごとに行っている防疫対策の情報の提供を開始しました。その結果、防疫対策について掲載している観光地のアクセス数は掲載していない観光地と比べて2.1倍多かったことがわかりました。また宿泊施設では防疫対策を掲載してるかしていないかで宿泊予約数に1.7倍もの差が出ました。

■”云旅游(クラウドツーリズム)“に注目

今年の春節は新型コロナの影響により旅行のキャンセルが相次ぎましたが、その頃から「云旅游」と呼ばれる新たな旅行のトレンドが生まれました。
「云旅游」とは、「クラウドツーリズム」とも呼ばれ、ネット上で観光地の動画や観光地の写真を見て旅行気分を味わおうというものです。

微博では#在家云旅行#というハッシュタグで観光地の動画や写真がたくさんアップされています。またマーフォンウォー(馬蜂窝)やアリババが運営する旅行予約サイト飛猪などでも観光地の様子を生配信や動画で伝えるサービスを開始しました。
その結果、飛猪の調査によると云旅游で人気だった都市が清明節でも人気の旅行先となり、ネットで人気になったスポットから徐々に回復していくということがわかりました。
実際に上海海昌海洋公園では閉園中、毎日ライブ配信を行ったことで清明節にはライブ配信経由で多くのお客さんで賑わったそうです。

クラウドツーリズム

 図2 云旅游(クラウドツーリズム)人気都市ランキングと都市別観光回復力ランキングの比較
出典:飛猪「2020年清明小長假旅游復蘇力報告」

■さいごに

中国ではまだまだ感染者が多く予断を許さない状況ではありますが、少しずつ日常に戻り始めているようです。観光市場も同様に少しずつ回復へ向かおうとしています。
日本では緊急事態宣言が全国に拡大され、インバウンド旅行者を迎え入れるどころか外出さえままならない状況です。しかし私達自身が感染拡大を防ぐための行動を起こせば、またすぐにインバウンド旅行者を迎え入れることができるでしょう。中国でも収束後の訪日旅行の意欲は高まっています。

そのために今できることとは一体何でしょうか。

例えば、ネット上で人気を集めておくということも1つの手かもしれませんし、また、今の段階から防疫対策をしっかり行っていることをアピールしておくという手もあります。

新型コロナウイルス収束後、インバウンド市場は以前よりも少し変わったものになるのではないでしょうか。

そのときのために、今から自地域に来る人の傾向やトレンドを知っておく、コンテンツを一から見直してみる必要があるかもしれません。